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乱流

turbulent flow

 乱流は,ミクロ的には三次元的で広波数域にわたる速度乱れをランダムに含む流れであり,マクロ的には大きな粘性拡散とエネルギー散逸により特徴づけられる.乱れの統計的性質が空間のすべての点で同一で,空間の向きにも依存しないとき,一様等方性乱流(あるいは筒単に等方性乱流)という,十分大きなレイノルズ数の乱流では平均流が非一様であっても,小さなスケールの構造は一様等方である.これを乱れの局所等方性という.分子運動による粘性に支配される層流に対して,発達した乱流は大小のランダムな渦運動により維持される.これらの渦運動により流体が運ばれることで拡散が,渦運動の相互作用により小さな渦に運動エネルギーが伝わることでエネルギー散逸が促進され,その効果は一般に分子運動による粘性効果よりはるかに大きい.流れが層流から乱流へ変ることを乱流遷移と呼び,流れを可視化した場合には染料の急速な拡散などが観察される.乱流が生じることにより,管路流れでは速度分布が偏平になり損失が増大する.境界層流れでは境界層厚さの増加および壁面摩擦や熱伝達率の増大が顕著に観られる.翼の流れでは大きな運動量拡散によって摩擦抗力が増大する一方ではく離が抑制される.流れを代表するパラメータであるレイノルズ数が低い場合には層流中の乱れが増幅しないために乱流遷移は生じない.それぞれの流れ条件において乱流遷移を起こしうる最小の値を臨界レイノルズ数と呼ぶが,実際に乱流遷移が生じるレイノルズ数や乱流遷移の形態については外乱の影響を強くうける.

09/1013291.txt · 最終更新: 2017/07/19 08:49 by 127.0.0.1