実物によって試験するかわりに,相似な模型を代用として使って試験することである.これは,何かの理由で実物による試験が困難な場合に利用され,元の物理現象を相似模型によって調べようとする手法である.模型試験による物理現象のすべての変数は,対応する元の現象と相似でなければならない.しかし,実際にはこの条件を満足することは困難な場合が多い.したがって,模型試験の計画や試験結果を評価する際には,相似則に関して厳密に検討しておく必要がある.
水力機械,特に水車・ポンプ水車は一般に実物が大形で現地試験が難しく,実物と相似な小形の模型で実物の性能受取り試験や研究のための試験が行われる.模型性能を対応する実物性能に換算するにはレイノルズ数の差異による粘性の影響を考慮する必要があり,これを寸法効果という.実物の性能受取り試験に利用するには大形の試験装置と高精度計測機器,高精度模型製作技術および寸法効果による実物への性能換算法が必要で,これらの事柄がJIS国内規格およびIEC国際規格で規定されている.