水,油,空気などの低分子流体はせん断応力がずり速度に比例するニュートンの粘性法則に従うニュートン流体であるが,高分子溶液,ペイント,血液などは従わない.このような流体は非ニュートン流体と呼ばれ,次のような4種類の流体に大別される.①純粘性流体:せん断応力τがずり速度Dのみの関数で表される流体である.見掛け粘度\({\mu _a} = \tau /D\)がずり速度の増加とともに減少する流体は擬塑性流体と呼ばれ,高分子物質の融液および溶液,繊維素エステル,でん粉のり,ガラス融液などがこれに属する.逆に,見掛け粘度がずり速度とともに増加して流れにくくなる流体はダイラタント流体と呼ばれ,砂と水の混合物などが属している.②塑性流体:せん断応力τが降伏応力\({\tau _y}\)とずり速度Dの関数で表される流体で,\(\tau > {\tau _y}\)になったときに流動がはじまる流体である.アスファルト,ペイント,グリースなどが属している.③時間依存流体:せん断応力がずり速度と時間に依存する流体である.粘度が時間とともに減少するものはシクソトロピー流体と呼ばれ,石こう液や濃厚な粘土液などがこれに属する.逆に,粘度が時間とともに増加するものはレオペクシー流体と呼ばれ,ベントナイトゾルなどが属している.④粘弾性流体:せん断応力がずり速度だけでなく,弾性体のようにひずみにも依存する流体である.大半の高分子物質の融液と溶液,生体液がこれに属する.