ケーシングとは,広義には液体機械の流路を形成する胴殻の総称である.ポンプでは羽根車から吐出される流体を集めるボリュート形状のケーシングを渦巻ケーシングという.比較的高圧ポンプには,羽根車直後にガイドベーン形のディフーザケーシングを置き,吐出された流体の速度エネルギーを圧力エネルギーに変換して渦巻室に流体を集めるディフーザポンプもある.固形物を含む液体あるいは磨耗性の高い液体を送るポンプでは,羽根車とボリュート巻始め部との間で,固形物がはさまることや局所的に流体の速度が高くなるのを防ぐために,ボリュート断面形状の変わらない円筒ケーシング,あるいは巻始めからある範囲では断面形状が同一で,その後拡大していく構造の半渦巻ケーシングを用いる場合もある.二重渦巻ケーシングとは,ポンプの半径方向スラストを低減するために,軸中心に対称に二個のボリュートを持つか,あるいは単一のボリュートに仕切壁を設けて二重のボリュートを形成する渦巻ケーシングのことをいう.立軸で,斜流ポンプまたは軸流ポンプのガイドベーンを持つ吐出しケーシングを吐出しボウルと呼ぶ.また,多段の場合の中間ケーシングを中間ボウルと呼ぶ.ケーシングはその割形で,軸垂直割形と水平割形に分類できる.軸垂直割形ポンプで吸込口あるいは吐出し口を持つ流路をそれぞれ吸込ケーシング,吐出しケーシングと呼ぶ.また,多段ポンプで吐出された流体を次段の羽根車に導く,戻り流路である中間ケーシングは,吸込ケーシングと吐出しケーシングの間に取付けられる.水平割形ポンプの上半分を上部ケーシング,下半分を下部ケーシングと呼ぶ.【フランシス水車,カプラン水車,バルブ水車】