一組のロールにより,2種類以上の被加工材に同時に延伸加工を加えつつ相互に押しつけ,合せ面における延伸に伴う新生面の発生と新生面相互間の拡散接合を誘発しつつ両者の接合を達成する方法をロール圧接という.一般に金属材料間の接合を達成するためには,①新生面の面積比の増大,②真実接触面積比の増大,が極めて重要である.このうち新生面の面積比は,冷間圧接の場合,少なくとも50%以上が望ましいとされている.ロール圧接の場合,新生面の発生率は,圧延に伴う減面率すなわち延伸率に対応している.また真実接触面積比は,ロールによって加えられる被加工材界面の接触圧力に大きく依存する.ゆえに,例えば冷間ロール圧接を実現するためには,一気に50%程度かそれ以上の延伸率を被加工材に加えることが望まれるが,通常の圧延機で1パス当たり50%の延伸率を与えることは容易ではない.そのためには,極小径ワークロールや高張力付与などの特殊機能を有する圧延機が必要となる.熱間ロール圧接の場合,要求される新生面の割合は大幅に緩和されるが,この場合には,接触面の酸化を防止する雰囲気の制御およびそれに先立つ接触面の酸化被膜の除去と清浄化が必要不可欠である.現在,ロール圧接の大半は熱間で行われており,その手順としては,被加工材の接触面を切削し,酸化膜を除去し,清浄化した後,接触界面を合せて,その周囲を溶接し,界面の空げきを密閉し,さらに真空に引いた後にこれを加熱して圧延する方法を採用している.