定位置で自転しつつ,または被加工材の周囲を公転しつつ,あるいはまた被加工材の表面に沿って転動しつつ,被加工材に変形を加えて所要の形状・寸法を持つ製品を得るために用いられる加工工具を総称してローラという.一般の板・棒・線・管の圧延加工,ロールフォーミング加工,スピニング加工,転造加工,矯正加工などに用いられるローラのごとく,その多くは回転(軸)対称形を有しているが,コールドピルガー圧延や異形棒鋼の圧延に用いられるローラのごとく,厳密な意味で回転対称形を持たないローラもある.その大きさは多様であり,圧延加工用ローラのごとく,直径φ1600mm,長さ6000mm程度のものから,微小管成形用ローラ,極細線矯正用ローラのごとく,直径・長さともに数mmのローラもある.ローラに用いられる材質は大型のものでは鋳鋼,鍛鋼が中心であり,中・小型以下のローラには,ダイス鋼,高速度鋼,超硬合金,セラミックスなどが用いられる.近年では,これらの材種を目的に応じて種々組合せ,複合化ローラとして用いる技術も発達し,ローラの摩耗や欠損の抑制および寿命向上に著しい成果をあげている例もある.