引抜き加工は,所定の穴形状を有するダイスに被加工材を通して引抜くことにより,各種横断面形状を有する線,棒,管,形材などを製造する加工法である.このうち,管の引抜きでは,外径と内径(あるいは肉厚)を所要寸法に仕上げるため,工具を素管内に挿入して加工する場合が多い.しん金と称する工具を入れて素管と共に引抜くしん金引き,プラグを支持棒で固定して引抜きを行う玉引き,プラグを固定しないで自律的に平衡を維持し,所定位置を保つようにして引抜くフローティングプラグ引き,などの方法が用いられている.実際の生産に用いる場合には,上述の基本的な方法に加えて,摩擦力を少なくするために1組のローラを用いるロールダイス引抜き法,4個のローラを組合せて長方形断面の線,棒を製造するダークスヘッド引抜き法,潤滑を流体潤滑状態に近づける強制潤滑引抜き法,素材を数百度に加熱して引抜く温間引抜き法,加熱した素材に張力を加えて局部的なくびれを連続的に進行させていくダイレス引抜き法,などがある.