炭素鋼の一部と合金鋼とを合せて特殊鋼と呼ぶ.おもにヨーロッパと日本における用語で,特殊鋼以外の鋼が普通鋼である.炭素鋼の中で特殊鋼とされるのは以下のようなものである.①炭素量が0.6質量%以上のもの,②炭素量が0.6質量%以下であっても,(a)キルド鋼であり,(b)炭素,シリコン,マンガン,リン,硫黄の量が同時に規定されているか,炭素量が最大値と最小値の差0.06%以内という狭い範囲で規定されているか,リンと硫黄の量がともに0.035質量%以下であることと同時に,(c)一つ以上の品質が定量的に規定されているもの,③焼入性が保証されているもの,④硫黄を添加して快削性をあげたものである.普通鋼と合せた我が国の鉄鋼生産量のうちおよそ15%を占める.主な種類を表に示す.産業別に使用量を見ると,自動車,産業機械で50%以上を占め,建設が5%程度である.