分子量の大きな有機・無機物質.天然に存在するものもあるが,多く使用されている繊維・プラスチック・ゴムなどは人工的に合成された有機物が主で,構成分子(モノマという)によってゴム状から硬いプラスチックまで特性が多様で,用途に合せて改良が続いている.繊維,フィルムなどでは分子を配向させて強度を上げて使用する.一般に金属材料に比べて弾性率が数10分の1,線膨張係数は一けた大きく耐熱性が低いが,熱・電気の絶縁体で軽量,耐食性に優れており触感がなじみやすい.最大の特長は加工性(→プラスチック成形)で,複雑な形状のものの量産に向いている.機械分野では緩衝用途や塗料,接着剤などに使われ始め,戦後量産性を生かして家電をはじめとする軽機器の構造部材や外装,自動車の内装などに用途を拡大した.機械的特性では,しょう動特性に金属にない特徴があり,自己潤滑性を生かして自動車や小型機器の軽負荷軸受をはじめとして小型歯車などに本格的に使われている.ただ,単体ではクリープが無視できないなど,強度や寸法安定性の点で強度部材には使われにくかったが,繊維強化複合の形での改良や,加工性の長所を生かした形状設計で剛性を補うなどして,機械材料の一つとして軽量化などに活用されている.先進複合材の実需の主体は樹脂系である.このほか,光学特性や選択透過性など物理的・化学的特性を利用した機能性樹脂としての使い方もある.