線形粘弾性体が所定の応力履歴を受けて変形する場合,ある時間tにおけるそのひずみは,それ以前の各時間τでの応力増分がそれぞれ単独に作用して時間tに引起こすひずみの増分を,過去の全応力履歴について重ね合せたものに等しいという原理.応力,ひずみ,クリープ関数をそれぞれσij(t),εkl(t),および\({J_{ijkl}}\left( {t - \tau } \right)\)とすれば,ボルツマンの重ね合せ原理は次のように書ける.\[{\varepsilon _{ij}}\left( t \right) = \int_{ - \infty }^t {{J_{ijkl}}\left( {t - \tau } \right)\frac{{d{\sigma _{kl}}\left( \tau \right)}}{{d\tau }}} d\tau \]この原理は,応力とひずみの役割を交換した場合も成立し,\[{\sigma _{ij}}\left( t \right) = \int_{ - \infty }^t {{G_{ijkl}}\left( {t - \tau } \right)\frac{{d{\varepsilon _{kl}}\left( \tau \right)}}{{d\tau }}} d\tau \]となる.ここで\({{G_{ijkl}}\left( {t - \tau } \right)}\)は緩和関数と呼ばれ
ている.これらの積分は,一般の線形な履歴現象にも適用でき,履歴積分と呼ばれている.