金属材料に繰返し応力が作用すると,表面にはせん断応力によりすべり帯が発生する.それが繰返し応力とともに発達し,入り込み,突出しなど表面微視凹凸を生じるとともに深さを増し,疲労き裂を発生させる.すべりにより発生し,内部方向に進展したき裂(第Ⅰ段階き裂と呼ぶ)は,結晶粒界や障害物に出会ったとき進展を停止する.その後はすべり面分離とへき開の混合したき裂となり,さらに十分にき裂が長くなれば,ストライエーション形成機構などにより引張応力に垂直な方向へ進展する.第Ⅰ段階き裂に続く引張応力に依存した進展過程を第Ⅱ段階のき裂進展と呼ぶが,その進展速度da/dNは応力拡大係数でよく整理され,両対数線図上で逆S字形の曲線となる.下限界近傍領域をⅡA領域,上限界近傍領域をⅡC領域といい,中間のⅡB領域ではda/dN/C(ΔK)m(C,mは材料定数)で表されるパリス則が成り立つ.【パリス則】