素材,製品,各種構造物を破壊せずに,きずの有無,その存在位置,大きさ,形状,分布状態などを調べることを非破壊試験という.その結果から,規格などによる基準に従って合否を判定することまでを含めて,非破壊検査という.なお,[JIS Z 2300]非破壊試験用語では,非破壊試験から検出されるものを“きず”と呼び,規格や仕様書などで規定された判定基準を超えて不合格となるきずを“欠陥”と定義している.非破壊検査に用いられる非破壊試験法では,何らかの物理現象を原理として利用しており,それに従って分類した主な探傷法は次のとおりである.①光学,色彩学:目視試験,浸透探傷試験,②放射線:放射線透過試験,コンピュータ・トモグラフィー(CT)試験,③電磁気:磁粉探傷試験,渦電流探傷試験,④音響:超音波探傷試験,アコースティック・エミッション(AE)試験,⑤熱:サーモグラフィー試験,⑥漏えい:漏れ試験.また,試験対象部位で分類すると,①表面または表層部:目視試験,浸透探傷試験,磁粉探傷試験,渦電流探傷試験などの光学や色彩学,電磁気の原理を利用した方法,②内部:放射線透過試験,超音波探傷試験などの放射線や音響の原理を利用した方法に分けられる.