試験片や構造部材が破壊または破断する場合の強度で,一般には引張負荷を対象として応力で表示する(破壊応力).原子間の凝集力(理想的破壊強度)から,平滑試験片の引張強さと真破断応力,欠陥やき裂がある場合の破壊強度,損傷または劣化後の破壊強度まで,広範囲に用いられる.破壊強度はもちろん材料によって異なるが,温度,ひずみ速度,力学的拘束などの試験(使用)条件の影響を強く受ける.特に,延性-脆性遷移を示す材料の場合,破壊強度は急激に変化する(延性破壊強度と脆性破壊強度).延性材料にき裂がある場合,き裂寸法が小であれば塑性崩壊(塑性不安定)支配で,破壊強度は引張強さに等しいが,き裂寸法の増大に伴い破壊靭性支配となり,破壊強度は著しく低下する.