き裂の先端や異材の接合角部では,弾性応力は無限に大きくなる.この無限大になる応力分布を特異応力場という.例えば二次元の接合角部における特異応力場は,通常角部先端に原点を持つ極座標系を用いて,次式\[{\sigma _{ij}} = \frac{K}{{{\gamma ^{i - \lambda }}}}{f_{ij}}(\theta )\]のように表される.ここに,指数λおよび特異応力のθ方向の分布を表す関数fij(θ)は角部先端の十分近傍における力学条件のみによって決められ,固有関数展開法などの理論解析によって求められる.これに対して,特異応力場の強さを表す係数Kは,角部先端から離れた所での弾性体の形状,荷重の状態などにも関係しており,その値を求めるためには通常,数値解析の手法を用いなければならない.【応力拡大係数,HRR特異場】