せん断応力線によって構成される直交曲線群.剛完全塑性体の平面ひずみ問題の解法の一つであるすべり線場法で用いられる.すべり線場法は,数学的には双曲形の偏微分方程式を特性曲線法によって解くことに対応する.応力の特性曲線がせん断応力線であり,これはまた速度の特性曲線とも一致してすべり線と呼ばれ,物体の各点で2組の直交曲線群(網目)を形成する.すべり線に沿った応力はヘンキーの方程式から求めることができ,またガイリンガーの方程式はすべり線に沿った速度の関係を与える.速度場を求めるためにはホドグラフを利用した図式解法も用いられる.すべり線場法は,計算機を用いた数値解法が発達する以前には塑性問題のもっとも有力な解法の一つであった.塑性加工を中心に各種の問題がこの方法で取扱われている.