大きさに対して厚さの薄い平板の力学解析などを行うために導かれた近似理論の総称である.板理論では,板厚方向の垂直応力は0であるとして,平面応力状態の応力とひずみの関係式を用い,板に垂直な断面は,変形後においても平面を保ちかつ板の中央面に対して垂直であるという仮定を採用している.この仮定はキルヒホッフの仮定と呼ばれ,はり理論におけるベルヌーイ・オイラーの仮定に相当するものである.これらの仮定のもとで,応力成分を板厚方向に積分することにより,応力の代わりに曲げモーメント,ねじりモーメント,せん断力などの合応力成分で力とモーメントの釣合い式を表現し,板理論を構築している.このようにして導かれたものは,古典板理論と呼ばれているが,これを改良した修正理論もいくつか提案されている.板の面外方向のせん断変形を考慮した修正理論が,その代表的なものであるが,断面の平面保持の仮定をゆるめた高次理論も提案されている.板理論は,その合応力の定義から積分化理論ともいわれ,この考え方を曲面板に応用したものは殻理論と呼ばれている.