地域住民による発電所，清掃工場，病院などの施設の受入れ可否のこと．危険性や汚染，騒音，振動などの公害性を伴う可能性のある施設は立地点周辺への影響が危ぐされるため，建設に際し立地する地域住民の賛同が必要とされる．発電所，ダム，清掃工場，ごみ処分場，下水処理場，病院，鉄道，道路，工場などが対象としてあげられる．地域住民の賛同を促すため，施設建設側による地域整備など地元に対する補償策が導入されてきた．例えば発電所については，電源立地を円滑に進める目的で，一定規模以上の原子力・火力・水力発電施設が立地する周辺地域に対し道路，港湾，公園，水道，レクリエーション施設などの公共用施設整備のための交付金が国から交付される．また，この問題の背景には便益を受ける地域と施設立地地域が異なるという特徴がある．社会的な受入れ可能性が問題とされるので，物理的な環境影響の防止・補償だけでなく，便益を受ける側の態度なども受入れ側地域住民の同意に影響する場合がある．1971年に杉並区住民が自区への清掃工場建設に反対したことに対し，区外のごみの受入れによってごみ公害に苦しんでいた江東区が杉並の清掃車の立ち入りを拒否する事件が起きたことが例としてあげられる．