柔軟構造物をもつ人工衛星の姿勢運動は構造振動の影響を受けるので,その姿勢を高精度に制御するために,姿勢運動と柔軟構造体の弾性振動の両者を制御すること.衛星の軽量化に伴って太陽電池パドルやアンテナなどの構造の剛性が低下して柔軟となり,その固有振動数が下がってきている.一方では高精度な姿勢制御を行うため制御系にはより高い周波数帯域が必要である.その結果,柔軟構造の固有振動数がその制御周波数帯域に入って相互に干渉することとなる.この干渉問題は衛星だけでなく将来的な宇宙構造物でも起こるし,パドルやアンテナなどの柔軟構造のほか液体タンクなど可動質量を持つ系でも干渉を起こす可能性がある.ただし,柔軟構造物制御問題は制御の精度に依存するので,高度な姿勢制御を必要としないミッションでは両者の振動数帯域を切離すことができ,干渉を避けることができる.