1969年アポロ11号により月面有人探査が実現したが，短期的な滞在にとどまり，遂にはアポロ17号をもって月面有人探査は途絶えてしまった．しかし，1989年アメリカのブッシュ大統領（当時）が，年頭教書の中で月面での人類の永続的な居住を前提としたアメリカの宇宙開発方針を示して以来，人類の定常的活動の拠点としての月面基地構想が，全世界的に検討されるようになった．月面開発の目的は「月（自体）の科学」「月からの科学」「月資源の利用」「惑星探査の中継・資源供給基地」「人類の活動領域の拡大」などに整理されるが，いずれにせよ巨額なプロジェクト経費を一国で負担することは不可能であり，宇宙ステーション以降の全世界を巻込んだ国際共同プロジェクトとしての実現が期待されている．