塔形式気液または液液接触装置の一つである段塔の内部に設ける水平な棚.通常は等間隔に複数設ける.トレーの数を段塔の段数という.あるトレーと一つ上のトレーとの空間を段ということも多い.トレー上では,滞留するまたは流れる液とその中を上昇するガスまたは液体が互いに接触する.トレーは主として良好な気液または液液接触を行わせるために設けるものであるが,その意味は以下のようにいくつか考えられる.段塔と,重力場で液滴が落下する気液接触スプレー塔とを比較すると,トレーにより液の滞留時間を増加させていることがわかる.また,液液接触のスプレー塔または気泡塔と比較すると,トレーにより連続相(液相)の長手方向の混合(軸方向混合という,分離に悪影響を与える)を抑制していることがわかる.これまで,良好な接触を行わせるべく各種のトレーが開発されており,十字流トレーとシャワトレーとに大別される.前者では,液はトレー上を水平に流れ,一方ガスまたは他方の液はトレーに設けられた開孔を通って,トレー上の液中を上昇する(十字流接触という).後者では,液とガスまたは他方の液が共通の孔を上下に通過して,トレー上で接触する.→棚段,段