原料あるいは排出物中に含まれる硫黄分を除去するための装置.脱硫技術には,固体の触媒や吸着剤を用いる技術と吸収液を用いる技術がある.触媒等の固体粒子を用いる脱硫技術には,原油などに含まれるチオフェンなどの有機硫黄化合物中の硫黄を硫化水素として除去する水素化脱硫法,あるいは二酸化硫黄を活性炭などに吸着させる方法などがある.このとき用いられる脱硫装置は固定床式,流動床式,移動床式に大別されるが,運転上のトラブルが少ないことから固定床式が広く用いられている.しかし,層内に温度分布ができるため製品収率が変化したり,触媒の抜出しや充てんに時間がかかるなどの欠点がある.一方,流動床や移動床式は,層内の温度が均一で,触媒を連続的に抜出しかつ補給できることから,触媒活性一定の条件で運転が可能である.吸収液を用いた脱硫技術には,天然ガス中の硫化水素を亜ヒ酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合水溶液に吸収させて最終的に硫黄として回収するもの,燃焼ガス中の二酸化硫黄を石灰スラリーによって吸収させ最終的に石こうとして回収するものなどがある.この場合の脱硫装置には充てん塔や段塔が用いられるが,石灰スラリーを用いるプロセスなどでは一つの装置で吸収操作と吸収液からの硫黄の回収操作が同時に行えるものが用いられている.