一定規模以上のごみ焼却炉において,焼却廃熱を利用して飽和蒸気あるいは過熱蒸気を作り蒸気タービンなどで発電するシステム.従来,ごみ発電は売電価格が低いこともあり自家消費を目的として行われてきたが,最近は未利用熱の積極的回収を図る有力な方法として注目されている.ごみ焼却炉ボイラの管材は,腐食性の強い排ガスと管表面に付着する灰によって非常に厳しい腐食環境下にあり,損傷を受けやすい.日本のごみ発電は1965年に蒸気温度350℃からスタートしたが,過熱器管に用いてきた炭素鋼の高温腐食の問題から,これまで蒸気温度は300℃以下に設計され,発電効率も10~15%にとどまってきた.最近,厚生省,通産省,自治省などによって,30%程度の高効率発電をめざした高温・高圧化ボイラチューブ材の開発,別燃料を用いたスーパごみ発電およびごみ固形燃料(RDF)を利用した高効率ごみ発電の実用化などの技術開発が行われている.1995年電気事業法の一部が改正され,ごみ発電を行う場合の卸電気事業,特定電気事業制度の創設,同一地方公共団体施設などへの特定供給制度の見直しなどが行われた.ヨーロッパやアメリカではごみ発電の高効率化は日本より先行している.今後,日本においてもごみ発電の積極的展開,高効率化が進むものと思われる.