断熱状態で静止した大気中では,温度Tは地面からの高さzと共に次式に従って低下していく,いい換えれば温度こう配は負となる.\[\frac{{dT}}{{dz}} = - \frac{g}{R}\frac{{k - 1}}{k}\]ここに\(g\)は重力加速度,Rは空気の気体定数であり,kは空気の比熱比である.しかし,実際には太陽からのふく射熱により地表面の温度は変化し,大気と地表面の間に熱伝達が行われることから大気中の温度分布は複雑となり,上空の方が温度が高い,すなわち温度こう配が正の部分が生じることがある.この温度こう配が正となる層を逆転層と呼ぶ.通常,日中は地面が暖められるため温度こう配は負となり大気の乱れ,対流が生じる.夜間は逆に地面のふく射により地表温度が低下し,大気の温度も地表に近い部分から下がり始めるため,逆転層が出来る.