Hill(1938年)は,筋(骨格筋)の等張力性収縮における収縮速度と荷重との関係を直角双曲線の一部とみなし実験式をたてた.この式は荷重をP,収縮速度をV,最大等尺性強縮張力を\(P'\),熱定数をa,エネルギー遊離速度をbとしたとき,\(\left( {P + a} \right)\left( {V + b} \right) = b\left( {P'} \right) + a = 一定\),となる.この式はHillの張力-速度関係式あるいは荷重速度関係式と呼ばれる.Hillの式は他の実験式と異なり,筋の力学的実験から得られた定数a,bの値が熱発生測定から得られた定数の値と一致する.Hillらは張力が収縮速度の増大とともに減少することを粘性抵抗によって説明した(粘弾性説).