細胞と外界あるいは細胞内小器官と細胞質との境界をつくっている膜.動物細胞では形質膜,ミトコンドリア内膜と外膜,リソソーム膜,小胞体膜,ゴルジ体膜,核膜などの総称.細胞膜は約5nmの厚さで,タンパク質と脂質の分子からできていて,内部が疎水性(非極性)で,外部は親水性(極性)を示す.タンパク質と脂質の多くは堅く結合した糖鎖残基を持っており,それぞれ糖タンパク質,糖脂質といわれる.膜の基本的構造は流動モザイクで説明される.タンパク質が脂質二分子層を貫通して,親水性部分を膜両面に露出するものと,膜を貫通せず膜の片側のみ親水性部分を露出するものがある.細胞膜は物理的境界をつくり,中にある生体物質の散逸を防いで生命の場を確保する役割を担っている.そのため,生体膜には①ある限られた分子を選択的に透過あるいは能動輸送する,②外界の化学的あるいは物理的情報を認識・伝達する,③物質代謝を行うための酵素やイオン・ポンプが働くのに至的な環境を整える,④細胞の運動や構造を支持する,といった働きがある.これらの多くの機能は膜に存在するタンパク質が担っており,その種類や量は多様である.