コンピュータシミュレーションを用いて問題解決に取組むアプローチのこと．理論，実験に続く第三の手法として位置づけられている．コンピュータの発達によって，従来は理論あるいは実験の予備的手段にすぎなかった有限要素法，有限差分法，境界要素法などの数値解法が，設計や現象解明のためのシミュレータとして本格的に利用されている．計算力学は，おのおのの分野（例えば，機械工学，建築学，土木工学，航空宇宙工学，金属・材料学，化学工学，電気・電子工学など）における固有の問題はもとより，それらに横断的な数値解析技術，計算機援用教育，最先端のコンピュータ利用技術なども対象としている．また，シミュレーションで取扱うモデルが複雑化，大規模化していることから，計算力学は次のような新しい分野を取込みつつそのすそ野はますます広がりつつある．例えば，マンマシンインタフェース向上のために，仮想現実感，マルチメディアなど，また，解析効率向上をめざしたファジィ，ニューラルネットワーク，AIなど知識情報処理の手法や遺伝的アルゴリズムなどの創発的計算手法の導入，大規模ソフトウェアシステムの構築に不可欠なものとしてオブジェクト指向技術などがある．