太陽エネルギーを太陽電池により電気エネルギーに変換し,その電力を利用したモータ回転力により駆動走行できる車両で,繰返し充放電可能なバッテリを搭載した電気自動車を一般にソーラカーと呼んでいる.
ソーラカーの基本的な動作原理とその構成を次に示す.車両の外表面に張られた太陽電池素子パネルにより,太陽エネルギーが直接電気エネルギーに変換される.この電気エネルギーはMPPT(最大出力点追尾装置)を経ていったんバッテリに充電されるか,または直接モータに供給される.モータに供給された電気エネルギーはモータドライバを通して制御され,適切な回転駆動力を発生させる.その駆動力が車輪に伝達されて走行を始める.
ソーラカーは太陽電池からの微弱な電力を動力源として,人間を乗せてある程度の速度で目的とする距離を走行しなければならない.そのために普通の乗用車に比較して走行抵抗を極限まで低減する必要がある.その一つが空気抵抗で仮に時速60km/hで走行したときには転がり抵抗の2倍になるといわれている.したがって空気抵抗係数Cd値および前面投影面積を極力減らすことが走行抵抗低減につながる.また太陽電池パネルの面積が大きいために横風を受けると不安定になり,横風に対しても配慮が必要である.
太陽電池は太陽の光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する変換機であり,通常の電池のような蓄電機能はない.太陽電池に使用される半導体としてはシリコン(Si)が主流であるが,ひ素ガリウム(GaAs)などの化合物も高性能太陽電池として開発されている.
MPPT(最大出力点追尾装置) 太陽電池による発電量と発進時などのモータの負荷による必要電力との間にアンバランスが生じ,太陽電池の最大出力を引出せないことがある.このために本装置を太陽電池とモータ負荷の間に設置して,太陽電池の出力特性を最大の状態に保たせるように制御する装置である.
モータドライバはモータの回転数やトルクを制御するために設置される装置で,最近はパワー半導体を高速でON/OFFスイッチング動作をさせて電流を制御するチョッパ制御方式が用いられる.
DCモータは起動トルクが大きく,出力トルクが入力電流に比例して増加するために車の駆動用には優れた特性を持っている.ブラシレス型はインバータによって変換された交流をコイルに流して回転磁界を発生させて,ロータを回転させるタイプであり,このモータ回転力を制御するのがモータドライバである.