車体の支持・案内は,通常の鉄道と同様に鉄車輪/鉄レールを用いるが,車両は地上を動く鋼索にけん引されて走行する鉄道を鋼索鉄道と呼ぶ.ケーブルカーとは狭義にはその車両をさすが,一般的には鋼索鉄道システム全体をケーブルカーと呼ぶことが多い.通常の鉄道が走行できないような急こう配も走行可能であるため,登山鉄道として用いられるほか,車両側に駆動のための装置を必要とせず車両が簡便となるため,サンフランシスコのように古くから都市交通として用いられてきた例もある.登山鉄道では,1本の鋼索の両端に車両をくくりつけ,巻上機により鋼索を巻上げる「つるべ式」のものが一般的であるが,都市交通向けのものでは車両の握索機が,循環するループ状の鋼索をつかんだり,放したりして走行するタイプのものもある.近年,「地上側に動力装置を持ち,車両が簡便になる」という鋼索鉄道の特徴を活かして,ゴムタイヤ支持式(POMA2000,SKシステム),懸垂式(スカイレール),空気浮上式(オーティス・シャトル・システム)などの新しい交通システムも開発されている.なお,「ケーブルカー」という名称をロープウエイのような索道に用いるのは正しくない.