ワイヤフレームモデルが,形状の稜(りょう)線のみを記述し,またサーフェスモデルが稜線と面分のみを記述し,いずれも形状の表現にあいまいさがあるのに対し,ソリッドモデルは,稜線・面分の情報に加えて,立体の実体が面のどちら側に存在するかの情報も保持し,形状をあいまいさなく一意に記述表現したモデルである.ソリッドモデルを扱うシステムは,次に示す強力な能力を持つ.すなわち①二つの三次元の形状を与えて,それらの形状に関し,和・差・積の集合演算を施すことができる.これらの演算を繰返すことにより,直接三次元の空間で形状の創成が可能である.②任意の点に光源を置いて得られるリアリスティックな画像を自動的に作り出すことが可能である.③設計に必要な各種のシミュレーションを行うことができる.④N/C工作機械用の指令テープをほとんど自動的に作り出すことができる.⑤ロボットの干渉チェックを行うことができる.ソリッドモデルの集合演算を,安定にかつ能率的に実行することは,大変にむずかしい技術である.