摩耗の発生はしょう動している表面近傍の疲れ破壊によるとする理論.摩耗粉形状がしばしば薄片状であることから,その説明を試みたもの.2物体が接触した場合,真実接触点を通して力の伝達がなされる.そして,繰返し摩擦を受けると,軟らかい側の表面近傍に塑性変形を生じる.この際,表面最近傍は高い圧縮の応力場にあるため,き裂が発生しにくいが,そのすぐ下部に介在物などがあると,そこを起点にき裂が発生し,表面とほぼ平行に進展する.き裂の一部が強度的に弱い部分を通って表面に達すると,薄片状の摩耗粉になる.