機構を構成し,互いに接触して相対運動を行う物体を節といい,各節のそれぞれの接触部分を対偶素または機素,それらの組合せを対偶という.対偶素は接触を維持し,所望の相対運動だけを許すために,特定の幾何学形状を持つ.両対偶素が面接触するものを低次対偶,線接触および点接触するものを高次対偶という.なお,対偶素間の作用力は対偶作用力と呼ばれる.対偶により連結された2節間の相対運動の自由度を対偶の自由度という.回転対偶,直進対偶およびねじ対偶の3種類は1自由度であり,他の対偶は2~5自由度である.回転対偶の軸と穴,ねじ対偶のおねじとめねじなど,両対偶素を入替えることを対偶の交替という.また,図のように二つの回転対偶を有する節において,一方の対偶を膨張して他方の対偶をその内部に取込むことを対偶[素]の拡張という.いずれも機構の運動に影響を与えないが,実際の機械では製造・用途に応じて行われる.