スパイラル溝軸受

spiral groove bearing

 軸または軸受のいずれかに多数の細いねじれ溝を設け,軸が回転したときのポンピング作用によって周囲流体を軸受すきまに誘い込み,軸受潤滑膜圧力を得る軸受形式.軸受特性は,局所的な段付き軸受の特性を基にして,平均的な軸受すきま内圧力分布を求める無限溝数理論を適用して簡便に解析され,溝ねじれ角,溝深さ,溝・ランド幅比などの設計諸元の最適値が求められている.スパイラル溝軸受は他の動圧型軸受と比較して軸受負荷容量が大きく,またスパイラル溝ジャーナル軸受は振回りに対する安定性に優れており,小型,軽荷重,高速用軸受として用いられる.互いにねじれ方向が逆のスパイラル溝を軸受面の両端から設け,かつ軸受面全体に設けた形式はヘリングボーン溝軸受と呼ばれる.この軸受形式は,軸受すきまを貫通する潤滑剤の流れがないので潤滑流体を軸受すきま内に保持しやすいが,潤滑剤による冷却の効果が少ないので軸受の温度上昇に注意する必要がある.→※軸受