軸受

bearing

 広義には六自由度の運動を一から三自由度に制限する機械要素の総称.狭義には,運動形態が回転の場合を「軸受」と呼び,直線,らせんの場合は,それぞれ「直動案内」,「送りねじ」と呼ぶ.回転運動だけを行わせるように拘束すると反力として半径(ラジアル)方向の荷重と(アキシャル)方向のスラスト荷重を受け,前者を受ける軸受をジャーナル軸受あるいはラジアル軸受,後者を受ける軸受をスラスト軸受と呼ぶ.
また,相対運動が滑りの滑り軸受と転動体を介した転がりの転がり軸受に大別できる.
滑り軸受は,流体膜の圧力により荷重を支持する流体潤滑軸受,流体膜のない固体の接触圧力で支持する無潤滑軸受,磁気力で支持する磁気軸受に分類でき,また,潤滑剤の種類により,液体潤滑軸受,気体軸受,グリース潤滑軸受,固体潤滑軸受の分類もある.流体潤滑軸受にはさらに,入口より出口の狭いくさび状すきまに粘性流体を押込むことによって圧力を発生させるくさび膜効果によるものと,気体の場合にすきま方向に振動を加えるとスクイーズ膜効果と圧縮性によって負荷を支える圧力が発生するスクイーズ膜軸受があり,それらを動圧軸受と呼び,それらに対して外部から強制的に圧力流体を注入して静圧によって負荷を支持するものを静圧軸受と呼ぶ.ジャーナル軸受の場合は軸の偏心によって自然にくさび状のすきまが形成されるが,スラスト軸受の場合はくさび膜効果を生じさせる工夫が必要であり,分割されたパッドに支点(ピボット)を置いたティルティングパッド軸受やくさび膜効果のような粘性ポンプ作用をさらに促進させる形状にしたスパイラル溝軸受がその代表で,一般的ではないが両者はジャーナル軸受にも用いられる.軸受材料については,動圧軸受の場合も,起動停止時あるいは工作組立不良や過負荷などで固体接触するので,そのときに表面が損傷しにくい材料を用いる.往復動エンジンのクランク軸に用いられる割り軸受に見られるように,一般に,滑り軸受には弾性係数が高く,軸受材料より熱膨張係数が小さい鋼の裏金に薄肉(0.1~0.5mm)の軸受材料を接着した二層材(バイメタル)あるいはさらにその表面にオーバレイと呼ばれるめっき層を設けた三層材が用いられる.無潤滑軸受は,固体潤滑剤を材料に混合したり,自己潤滑性のあるいわゆる自己潤滑材料を用いることにより,低速低荷重の場合に無潤滑で使用できる.多孔質焼結金属材に油を含ませた含油軸受も無給油で使用できるため,家庭電気製品,事務用機器など軽荷重のものに多く使用される.
転がり軸受は,転動体が玉の玉軸受ところ軸受に分類され,ころにはさらに円筒ころ,円すいころ,針状ころの種類がある.

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