気体潤滑膜によって相対運動する2面間の負荷を支持する軸受,空気を潤滑剤とする場合が多く,このときは空気軸受と呼ばれる.気体軸受は軸受すきま内の圧力発生の方法によって次の三つに大別できる.すなわち狭まりすきまを有する二つの面の相対滑り運動によって,気体が狭まりすきまの方向にかき込められてすきま内に周囲の圧力より高い圧力を生じさせる動圧気体軸受,二つの向かい合う面の片方が面に垂直な方向に振動することによりすきま内に周囲の圧力より高い平均圧力を生じさせるスクイーズ気体軸受および外部からの圧縮気体を絞りを通してすきま内に導入することによりすきま内の圧力を周囲圧力より高め,かつ剛性を持たせる静圧気体軸受がある.動圧軸受は,その構成から,平滑円筒軸受,スパイラル溝軸受,傾斜パッド軸受,フォイル軸受,スクイーズ軸受などに分類でき,他方,静圧軸受は,給気絞り形式から,オリフィス絞り,自成絞り,スロット絞り,多孔質絞り,表面絞りなどに分けられる.低摩擦で高速回転が可能であること,広い温度範囲で作動できること,高い運動精度特性が得られることなどの特徴を生かして,各種の高速スピンドルや精密測定器用軸受に応用されているが,反面,油潤滑軸受と比較して軸受負荷容量が小さく,境界潤滑機能が乏しいという短所がある.軸受気体膜の圧縮性に起因する不安定現象を生じることがあるので,これを避けるため,軸受すきま内の気体の容量をできるだけ小さくする構成とするなど,油潤滑軸受とは若干異なった構造に設計される.