センサフュージョン

sensor fusion

 複数のセンサ情報から,単一のセンサ情報のみでは得られない情報を抽出しようとする技術の総称.丁寧ないい方として,multi sensor fusion and integrationと呼ばれることもある.処理内容に応じて,複合センサ,センサ統合,センサ融合,センサ連合などの用語が用いられる.一般的に,複合や統合は,測定レンジの拡大,単一機能性の回避,各種の補償やノイズの除去,精度や信頼性の向上,処理時間の短縮などに相当し,融合や連合は,両眼融合や視触覚融合などの例でもわかるとおり物体や空間の理解,知識の獲得や利用,センシングにおける予測・学習・記憶などの問題に関連した処理技術をさす.このようなセンサフュージョンを実現するためには,センサの知能化を中心としたハードウェアの問題,処理構造の記述論を主体としたソフトウェアの問題,さらにはこれらの基盤の上に実現する計測アルゴリズムの問題を解決する必要がある.とくにアルゴリズムの問題では,従来からの信号処理技術を異種センサ情報に適用することを主眼とした信号処理・統計処理の問題,知識や記憶なども含めて計測の論理構造を実現しようとする人工知能の応用の問題,あるいは計算構造や論理構造が得られない場合の適応構造の実現問題などが扱われている.