順運動学

forward kinematics, direct kinematics

 マニピュレータなどロボットのリンク機構において,アクチュエータにより駆動される関節の変位が与えられたとき,リンク機構先端部にあるハンドなど先端効果器の位置,姿勢を求める問題を順運動学という.関節の変位としては,回転関節の場合は回転角度,直動関節の場合は直動変位を用いる.広義には,関節変位より中間の各リンクの位置,姿勢を求める問題も順運動学と呼ばれる.順運動学の解法としては,同次変換行列による方法が知られている.各リンク間の位置,姿勢の関係を4×4の同次変換行列により表し,これをリンク機構の基部より先端部へと順次掛け合わせることにより中間および先端の各リンクの位置,姿勢が得られる.アクチュエータによって直接駆動されない受動関節が存在する場合,受動関節の変位が与えられれば,同様に順運動学を解くことができるが,受動関節の変位が与えられない場合,その解法は困難となる.とくに,閉ループ機構を含むパラレル機構では,一般に,順運動学を解析的に解くことができない.この場合は,ヤコビ行列を用いた数値解法による.