宇宙ロボット

space robot

 宇宙で作業するロボットの総称.軌道上と惑星のロボットに大別され,役割に応じさまざまな機能や形態のものがある.軌道上ロボットは無重力での作業が特長で,宇宙船内で働く船内ロボットと外で働く船外ロボット(図)に分類される.前者は整った環境での材料実験などの定形作業がおもなのに対し,後者は多様かつ過酷な環境での構造物組立やサービスなどの半定形作業が主となる.船外ロボットには大きな物体を扱うクレーン型,細かな作業を行う精密作業型,空間を飛び回り作業する自由飛行型などがある.惑星ロボットは走行作業がおもで,月・火星などの探査ローバーや将来的には基地を建設し保守するものが求められる.宇宙ロボットは打上げの振動・衝撃に耐え,かつ,真空,熱,放射線など過酷な宇宙環境で長期間,信頼性高く稼働する必要があり,機構系では構造設計,熱設計,潤滑,材料などに,制御系では耐環境素子,安全対策などに特殊なハードウェア技術が適用される.惑星ロボットではロケットの輸送能力の制限のためマイクロ化技術が特に使われる.飛行型では航法・誘導・制御や無重力場で浮遊する多体リンク系の運動制御やセンシング技術が求められ,研究途上にある.また,宇宙との通信は限られ,遅れもあるため,通常の遠隔操作は困難で,ロボットの自律性と技能を高める一方,遠隔操作と自律制御を融合しロボットと地上の操作者の技能,知能をシェアしたり,仮想現実感を用い操作するテレロボティクス技術が使われる.

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