ディジタル制御

digital control

 制御則をディジタル計算機を用いて処理する制御をディジタル制御という.一般的なディジタル制御系は以下のように構成される.連続時間系である制御対象の制御量の測定値はサンプリング周期ごとに作動するサンプラによって離散化され,さらにA-D変換器によってディジタル信号に変換されて計算機に入力される.計算機では制御則が計算され有限ビットのディジタル信号である操作量が得られる.この信号はD-A変換器によってアナログ信号に変換され,さらにホールドによって連続時間信号に変換されて制御対象への入力になる.離散時間形式である制御則を決定する方法は二通りに大別される.第一の方法は制御対象の離散時間モデルを導き,制御系を離散時間系として制御則を決定するものである.第二は制御系を連続時間系とみなして制御則を決定し,その後サンプリング周期を適当に選んで離散時間形式の制御則を再設計する方法である.第一の方法がディジタル制御理論の主要部である.この方法ではサンプリング周期を比較的大きく選ぶことができるため,適応制御のようにオンライン同定を含む複雑な制御則を処理できることやシステム管理上の論理を同時に処理できるなどの利点がある.さらには離散時間系に固有な有限整定応答などを利用することができる.