平衡状態における物質の状態量の関係を表した方程式.単に状態式ともいう.均一相における純物質の状態量の自由度は2であり,温度T,圧力P,比体積vの間には,P=f(T,v)の関係が成り立つ.理想気体の状態式は,ガス定数をRとすればPv=RTと書かれる.実在気体の状態式は,ファン・デル・ワールスの状態式に代表される三次状態式とビリアル状態式に大別され,物質ごとに作成されている.
動的システムを記述する一方法として,状態空間法がある.状態空間法では,動的システムを状態方程式と出力方程式で表す.r入力,m出力の線形の動的システムを状態空間法によって記述してみよう.連続時間系では,状態方程式と出力方程式はそれぞれ\[\begin{array}{l} \frac{{d\boldsymbol{x}\left( t \right)}}{{dt}} = A\boldsymbol{x}\left( t \right) + \boldsymbol{Bu}\left( t \right)\\ \boldsymbol{y}\left( t \right) = \boldsymbol{Cx}\left( t \right) + \boldsymbol{Du}\left( t \right) \end{array}\]で表される.ただし,u(t)は入力ベクトル(r次元),y(t)は出力ベクトル(m次元),x(t)は状態ベクトル(n次元)である.ただし,A,B,C,Dはそれぞれ,n×n,n×r,m×n,m×r行列である.1入力1出力の場合は,r=1,m=1のときであり,u(t)→u(t),y(t)→y(t)になる.入力を,サンプラと零次ホールドを通過させたのち連続時間系に加えると離散時間系が得られるこのときの状態方程式と出力方程式は\[\begin{array}{l} \boldsymbol{x}\left( {\kappa + 1} \right) = P\boldsymbol{x}\left( \kappa \right) + \boldsymbol{Qu}\left( \kappa \right)\\ \boldsymbol{y}\left( \kappa \right) = \boldsymbol{Cx}\left( \kappa \right) + \boldsymbol{Du}\left( \kappa \right) \end{array}\]で与えられる.サンプリング周期をTとするとき\[\begin{array}{l} \boldsymbol{P} = {e^{\boldsymbol{A}T}}\\ \boldsymbol{Q} = \left[ {\int_0^T {{e^{\boldsymbol{A}\xi }}d\xi } } \right]\boldsymbol{B} \end{array}\]の関係がある.