回転軸は軸受、シールの位置でx-y 2次元平面内を回転しているとみなすことができる。回転軸とケーシングの間のすきまにある流体は回転方向に流れているのが通常である。滑り軸受、シールがその典型例であり、流体の平均速度は回転体の周速の半分である。この流れに対し、回転軸が偏芯すると反力は復元力のように戻る方向ではなく、流れの方向にずれて働く。これをクロスばねと呼んでいる。このクロスばねはx方向とy方向の運動を連成させ、回転方向(前回り)と反回転方向(後回り)のモードを生成させ、滑り軸受やシールでは前回りに対し不安定な効果を持ち、前回りの自励振動、すなわちウィップを起こす。
シールに流入する流れが、軸の回転と同じ方向のスワールを有しているとクロスばねが増大し、前回りのウィップが発生しやすくなる。このスワール量と方向を制御することにより、クロスばねを前回り~ゼロ~後回りと自由に変更でき、ウィップを止めることが可能となる。コンプレッサ等では、シールの入口に整流板を入れてスワールを抑制する対策の他に、ディフューザ後流から流体をバイパスさせ、軸の回転と逆方向のスワールを入れることによりスワール量を積極的に調整するスワールキャンセラーと呼ばれる制御方法がある。