動力機関の歴史

history of power engines

 動力機関(熱機関)とは,熱(火)を動力に転換,利用する機械の総称.以下におもな事項を年表で示す.
 
—動力機関の芽生え—
紀元前~120年 ヘロン(エジプト)蒸気タービン.反動タービンの起源
西暦~1200年 火薬の発見(中国)爆発圧による物体の発射.内燃機関の起源
~1600年 スモークジャック(ヨーロッパ)煙突内上昇気流利用.ガスタービンの起源
1629年 ブランカ(イタリア)蒸気利用鉱石粉砕機.衝動タービンの起源
—真の動力機関の出現—
1712年 ニューコンメン(イギリス)蒸気機関.ボイラ誕生.世界初の実用熱機関.石炭燃焼により蒸気発生.蒸気の凝縮による真空圧を利用.上下往復動,熱効率~1%前後,出力~4kW程度
1761年 ブラック(イギリス)潜熱,熱容量発見
1776年 ジェームス ワット(イギリス)はん用蒸気機関.分離凝縮器採用,蒸気原動所基本構成提供
1787年 シャルル(フランス)気体熱膨張の法則
1788年 ワット(イギリス)遠心調速機と軸回転方式採用
1790年 マードック(イギリス)石炭ガス生成に成功
1794年 ワット(イギリス)ピカールの特許切れを待ち,蒸気機関にクランク-コンロッド方式採用.はん用蒸気機関の姿整える
—動力機関の大躍進—
1804年 トレビシック(イギリス)高圧蒸気機関.鉄道蒸気機関車の試み
1807年 フルトン(アメリカ)蒸気船
1810年 ケーレー(イギリス)ガス爆発機関.熱空気機関
1812年 トレビシック(イギリス)丸ボイラ.ボイラ革新の始まり
1823年 ブラウン(イギリス)爆発真空機関の実用化
1824年 カルノー(フランス)熱機関効率の理論
1825年 スチーブンソン(イギリス)蒸気機関車実用化
1827年 スターリング(イギリス)熱空気機関
1831年 ファラデー(イギリス)電磁誘導理論.後にモータ,点火プラグなどに応用
1832年 フルネーロン(フランス)反動型タービン水車
1838年 バーネット(イギリス)ガス圧縮二サイクルエンジン,コック式点火装置考案
1847年 ジュール(イギリス)熱の仕事当量実測
 ヘルムホルツ(ドイツ)熱力学第一法則
1849年 フランシス(アメリカ)反動水車
1850年 クラジウス(ドイツ)熱力学第二法則
1854年 ランキン(イギリス)ランキンサイクル提唱
1855年 ジラール(フランス)衝動型タービン水車
1860年 ルノワール(フランス)最初の実用内燃ガス機関.複動二サイクル無圧縮ガス機関
1862年 ボー・ド・ロシャー(フランス)内燃機関理想型(四サイクル)高効率を得るための基本条件提言
1867年 オットー&ランゲン(ドイツ)自由ピストン内燃機関
 ジーメンス(ドイツ)電磁石採用発電機
1869年 カーチス(アメリカ)速度複式衝動タービン
1870年 ペルトン(アメリカ)衝動水車
 グラム(ベルギー)直流発電機およびモータ
1872年 シュトルツェ(ドイツ)最初の外燃式ガスタービン
 ブレイトン(アメリカ)ガス燃料熱機関.ブレイトンサイクル創案
1876年 オットー(ドイツ)四サイクル内燃機関.内燃機関真の実用化軌道に乗る.熱効率~14%
1879年 エディソン(アメリカ)白熱電灯
1881年 クラーク(イギリス)二サイクル内燃機関.熱効率~16%
1882年 世界初蒸気機関による配電用発電所(パール ストリート発電所,アメリカ,機関出力120kW)
1883年 ド・ラバル(スウェーデン)単段衝動蒸気タービン.ミルク遠心分離用
 ダイムラー(ドイツ)四サイクル内燃機関.二輪車に搭載.ガソリン初使用,霧吹き型気化器
1884年 パーソンズ(イギリス)多段反動蒸気タービン.蒸気タービン原型完成.電力発生用,電気出力7.5kW,熱効率27%
1887年 国内初事業用発電所.25kW直立形蒸気機関2台(東京電灯会社,茅場町)
1891年 デー(イギリス)クランク室圧縮二サイクル内燃機関.二サイクル内燃機関原型完成
 プリーストマン&スチュアート(イギリス)焼き玉機関.出力~数馬力,熱効率~13%
1896年 ベクレル(フランス)ウラニウム放射能発見
1897年 ディーゼル(ドイツ)圧縮着火内燃機関(ディーゼル機関).出力~20馬力,熱効率~25%
1897年 ラトー(フランス)圧力複式衝動タービン
—動力供給,利用の量的大躍進—
1902年 ボッシュ(ドイツ)点火用高圧磁石発電機
1903年 ライト兄弟(アメリカ)飛行に成功
 ツェリー(スイス)圧力複式衝動タービン
1904年 日本国内初陸用蒸気タービン.500kW立て形(東京市街鉄道,深川)
 世界初地熱発電(イタリア トスカナ州)
1908年 国産1号発電用蒸気タービン(三菱長崎造船所)
1911年 ユングストローム兄弟(スウェーデン)半径流反動タービン
1919年 国産1号舶用蒸気タービン(戦艦長門)
1922年 ベンソン(イギリス)臨界圧水加熱,蒸気生成法考案
1925年 モント(アメリカ)強制循環ボイラ考案
1927~1931年 貫流ボイラ実用化.ジーメンス社(ドイツ)ベンソン式,ズルツァー社(スイス)ズルツァー式
1939年 BBC社(スイス)世界初事業用ガスタービン発電
1942年 ホイットル(イギリス)ターボジェット
 フェルミ(アメリカ)核分裂連鎖反応に成功
1949年 ベル アイル(アメリカ)世界初事業用コンバインドサイクル発電
 シグマ社(フランス)ペスカラ式フリーピストン ガスタービンの実用化
1951年 原子炉による初発電に成功(アメリカ)EBR-1実験用高速増殖炉,電気出力100kW
1954年 世界初原子力発電所(ソ連)オブニンスク原子力発電所
1957年 シッピングポート原子力発電所(アメリカ)世界初加圧水型原子力発電所(PWR)営業運転開始.電気出力10万kW
1958年 エディストン(アメリカ)超臨界圧発電
1960年 ドレスデン原子力発電所(アメリカ)世界初沸騰水型原子力発電所(BWR)営業運転開始.電気出力21万kW
1963年 日本原子力研究所JPDR,国内初原子力発電成功.電気出力1.25万kW
1966年 日本原子力発電(株)東海発電所,国内初商業用原子力発電開始.コールダーホール型CO2冷却炉,電気出力12.5万kW
1967年 世界初バンケル型ロータリエンジン搭載車事業化(東洋工業)
1968年 国内初コンバインドサイクル発電(丸住製紙(株)川之江)
1970年 国内初BWR,PWR営業運転開始(日本原子力発電(株)敦賀発電所,電気出力32万kWおよび関西電力(株)美浜1号機,電気出力34万kW)
1984年 国内初再燃式ガスタービン(AGTJ-100A)発電成功
1989年 国内初超々臨界圧発電(中部電力(株)川越)

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