スワール

swirl

 ピストンエンジンにおいて,シリンダ軸まわりの旋回流をいう.ディーゼルエンジンで燃料と空気の混合促進のためにシリンダ内に発生させる流れが代表的な例.給気ポートの工夫でシリンダ軸と平行な旋回軸を持つ流れを形成し,圧縮行程で燃焼室に噴射された燃料と空気の混合を促進することで,空気の利用率を改善して高出力を得ることが目的である.ガソリンエンジンでも低燃費・低公害のために大量EGR(排気再循環)や希薄燃焼方式を採用した場合,燃焼が悪化するのを防止するためにスワールによる乱れ促進効果を利用する例が多い.この場合,吸気ポートを非対称形にしたり,吸気二弁エンジンでは一方の吸気弁を停止して,吸入空気に旋回を与え,スワールを形成する.旋回軸に傾きをもたせた斜めスワールが燃焼改善に有効とされるが,90°傾いたものはタンブル(縦渦)と呼んで区別することがある.スワールの強さはスワール回転速度をエンジン回転速度で除したスワール比で表される.強いスワールを得ようとすると吸気抵抗が大きくなって空気量が減少することから,最適なスワール比は運転条件によって異なる.