例えば力学的に平衡な状態にある粘弾性体に,外から仕事を付与して変形させると,変形に伴う分子間のポテンシャルエネルギーが増加し,粘弾性体内部の応力が高まる.その後,変形を維持すると,分子が次第にポテンシャルエネルギーの低い状態に再配列されるとともに,エネルギーが熱として逸散され,内部の応力が次第に下がり,新しい平衡状態に移行する.その際,新しい平衡状態にいたる過程での応力の時間的変化割合は,新しい平衡状態における応力との差に比例する.このような現象は,Maxwellによって初めて指摘され,緩和現象と呼ばれる.最初の非平衡が1/eに減少するのに要する時間を緩和時間という.上記の例は,応力緩和現象と呼ばれる.緩和現象には,このほか,磁気緩和現象,電気的緩和現象,化学的緩和現象などがある.