凝縮・蒸発の相変化過程を凝縮・蒸発の核生成と,その核を基にした原子・分子の凝縮・蒸発と考えるときの核生成エネルギーは,単原子・分子の状態からこうした核を構成する状態の原子・分子のエネルギーの極値をもって定義している.核生成エネルギーは,核相状態の原子・分子のエネルギーから核生成前のエネルギーを差引いたものになるが,前者はクラスタ状態であり,その値の見積りは難しい.しかし,簡単に生成核は一様な界面とその内部のバルクな相状態にある原子・分子で構成されると仮定して取扱う場合が多い.このとき,それぞれのエネルギーをεs,εvとすれば,核生成エネルギーは\[\it\Delta \varepsilon = {\varepsilon _v} + {\varepsilon _s} - {\varepsilon _o} = ({\varepsilon _v} - {\varepsilon _0}) + {\varepsilon _s}\]と表される.ε0は単原子・分子状態でのエネルギーである.括弧内はバルクな相変化エネルギーであり,εsは表面エネルギーである.核の体積,表面積をv, s,単位体積当たりの相変化エネルギーをμ,単位表面積当たりの表面エネルギーをσとすれば\[\Delta \varepsilon = \mu v + \sigma s\]となる.これは核の幾何学的な大きさ(球径や含まれる分子数など)の関数となるが,ある大きさのところで極値をとり,その大きさの核を臨界核という.