適応係数

accommodation coefficient

固体壁面に入射した分子は壁で反射される.反射後の分子の運動量や運動エネルギーがどの程度壁の状態に適応したかを示すのが適応係数.τ,p,εをそれぞれ分子の接線運動量束,法線運動量束,エネルギー束とし,入射を添字i,反射をr,壁温に対する平衡状態をwとすると,接線運動量適応係数は\(\sigma = \left( {{\tau _i} - {\tau _r}} \right)/\left( {{\tau _i} - {\tau _w}} \right)\),法線運動量適応係数は\(\sigma ' = \left( {{p_i} - {p_r}} \right)/\left( {{p_i} - {p_w}} \right)\),エネルギー適応係数は\(\alpha = \left( {{\varepsilon _i} - {\varepsilon _r}} \right)/\left( {{\varepsilon _i} - {\varepsilon _w}} \right)\)である.ただし\({\tau _w} = 0\).空気では種々の固体面に対しσ=0.8~1,α=0.87~0.97であり,\(\sigma '\)も1に近い.

壁面に衝突した気体粒子の一部が壁面の状態に適応する拡散反射し,ほかが鏡面反射するマクスウエル形反射において,拡散反射と鏡面反射するものの比を適応係数という.この適応係数αを用いてスリップ流れの大きさを表すパラメータである壁面修正係数(≒2-α)が定義される.