自由分子流

free molecular flow

 分子の平均自由行程が流れの代表長さよりはるかに大きい流れ.管内の流れでは代表長さは管直径であるから,分子は管壁とのみ衝突し分子間衝突は起きない.この場合,通常の分子間衝突が支配的な放物線状の流速分布とならず,半径方向に変化のない平らな流速分布となる.クヌッセン数Kn(=λ/Lλ:平均自由行程,L:代表長さ)が10以上の流れは,自由分子流とみなす.λは圧力に反比例するので,自由分子流は高真空下の流れといえる.真空蒸着や分子線エピタキシーでは,分子間衝突のないこのような流れを利用する.