ろう

brazing filler metal

 ろう付けに用いる溶加材で,接合する母材に応じて種々の金属および合金が使用される.母材よりも低い融点を持ち,母材に対するぬれが良好であり,機械的性質や化学的性質が適切であることなどがろうに必要とされる一般的性質である.ろう付け作業性などの見地から溶融温度範囲の大小や溶融温度の高低などを変化させた種々のろうが開発されている.以下に示す各種のろうが[JISZ3261~3268]に規定されている.銀ろうはAg-Cu系とAg-Cu-Zn系を基本とし,鉄鋼材料をはじめ銅やNi系などの金属材料,およびセラミックスや黒鉛など広範囲の工業材料に対して使用される.銅ろうはぬれ性の優れたろうであり,鉄系,Ni系,Cu-Ni系材料に適している.黄銅ろうはCu-Zn系合金で,鉄系および銅系材料に使用される.りん銅ろうは銅にPを添加して融点を下げたもので,銅および銅合金に用いられる.ニッケルろうはNiにBやSi,P等を加えて融点を下げ,Crを加えて耐熱性・耐食性を高めてある.ステンレス鋼や耐熱鋼・Ni基超合金等の接合に耐熱ろうとして使用される.耐熱ろうとしてはパラジウムろうも規定されている.以上のほか,Al-Siを主成分とするAl接合用のアルミニウムろう,金を主成分とし,宝飾用,半導体用,歯科用,航空宇宙機器用など多方面に使用される金ろう等がある.また,電子管や高真空機器用として高蒸気圧成分をおさえた金系および銀-銅系ろうが真空用貴金属ろうとして規定されている.