溶接施工は,溶接構造物の形状,寸法などに応じ,溶接姿勢,溶接順序,溶接用ジグ,仮付け溶接すなわちタック溶接の必要性,ワンパス溶接,溶接の全姿勢に対する可能性などを考慮して進める必要がある.溶接方法には溶接方向との関係によって,種々のものがある.溶加材がトーチの前を進む前進溶接,溶加材がトーチの後から進む後進溶接またはバックステップ溶接,飛び石のように溶接金属をおいて,のちに,飛び石の間を溶接するスキップ溶接(飛び石溶接),さらに,下進溶接,上進溶接などがある.前進溶接は最も簡単な溶接方法であり,自動溶接ではほとんどこの方法が使用される.溶接長が長い場合,収縮と残留応力が大きくなるため,後進溶接やスキップ溶接が選定される.いずれにせよ,これらは,溶接に伴う変形,収縮,溶接残留応力,母材の材質,および溶接方法によって適切に選定する必要がある.