状態図

phase diagram

物質内の異なる相が,組成・温度・圧力などの状態量によって,安定して存在する領域を,図示したもの.平衡状態図とも相図ともいわれる.後者は統計熱力学の分野でよくいわれる.なお,近年急冷などの条件下で生成する準安定相の形成範囲を明示する場合にも状態図といわれる.一成分の系では,圧力と温度で存在する相の領域を示すが,合金のような二成分以上の系では圧力一定で温度・成分の変化により相の安定領域を示すことが普通である.ある目的に合った合金をつくる際状態図より組成ならびに温度などの条件を選択する.また,組成・温度の作成条件が分かった合金を入手した際,物理的ならびに化学的性質を知るためには,合金の状態図を参照すると便利である.合金の状態図は簡単なものから複雑なものまで多岐にわたり,特に成分が多くなると複雑になり理解もかなり困難になる.状態図の作成は,材料開発の道しるべであり,物性の理解のために最も基本をなすため,現在も着実にその努力が続けられている.作成に膨大な時間がかかるところから,熱力学データベースを利用して,計算機による状態図の作成が,盛んに行われている.

物質の系が[安定]平衡状態で存在する相の種類を示強状態量の値に対して図示したもの.相図ともいう.示強状態量としては,通常温度と圧力をとり,多成分の系の場合には組成を追加する.相律により1成分の系では自由度は最大2であるから,例えば水の状態図を温度と圧力に対して示すと図のようになる.ただし,図には示していないが,氷には結晶構造の異なる多くの相が存在する.2成分の系では自由度は最大3であるから,温度,圧力および組成のうちのいずれか一つを一定にして平面的に図示する.3成分以上の系では平面上に立体表示などする.

1005854_01.jpg