き裂先端に塑性域が存在する場合,塑性域内の応力低下により,その塑性域まわりの弾性応力場は,実際のき裂よりも長いき裂に対する弾性特異応力場で表される.このため,弾塑性材料への線形破壊力学の適用に関して,塑性域の影響をき裂長さを補正することにより考慮する.これを,塑性域補正という.特に,き裂先端から弾性特異応力場で降伏条件を満たす位置までの距離をき裂長さ補正量として用いるものをアーウィンの塑性域補正といい,そのときの塑性域寸法はき裂長さ補正量の2倍で与えられる.